銀と金の話

円安で3倍?iPhone価格と金・銀で見る購買力の変化

2025年9月19日の相場

小売価格(税込)買取価格(税込)前日比
19,153円/g18,961円/g+185円/g
221.54円/g215.49円/g+1.43円/g

徳力本店の地金相場より引用しております。

日本では「iPhoneが毎年値上げされている」と感じる人が多いでしょう。たしかに日本円での価格は2010年のiPhone4が46,080円だったのに対し、最新のiPhone17では129,800円と、およそ3倍になっています。

しかし本当にiPhoneは値上げされ続けているのでしょうか。 実は、アメリカのドル建て価格はこの15年で大きく変わっていません。さらに最新のiPhone17はベース容量が256GBと、前モデルの倍に増えています。視点を「円」だけに限定せず、「ドル」「金・銀」でも見てみると、購買力の実像がはっきりしてきます。

歴代iPhoneの価格一覧

初期のiPhoneはSIMフリーモデルが存在せず、キャリア契約が前提でした。
アメリカでSIMフリーモデルが販売されたのはiPhone4からです。
そのため、本記事の比較はiPhone4から最新のiPhone17までを対象にしています。
日本価格は、iPhone 4〜5sがSoftBank(キャリア価格)、6以降はApple StoreのSIMフリー価格(税込)。
アメリカ価格はSIMフリーを基準にしています。

モデル発売日アメリカの価格日本の価格ドル円Gold oz(日本価格基準)Silver oz(日本価格基準)
iPhone 4 (16GB)2010年
6/24
$59946,080円90.6円0.4096oz27.2713oz
iPhone 4s (16GB)2011年10/14$64946,080円76.7円0.3576oz19.3613oz
iPhone 5 (16GB)2012年9/21$64951,360円78円0.3714oz19.0858oz
iPhone 5s (16GB)2013年9/20$64951,360円99.4円0.3900oz23.8220oz
iPhone 6 (16GB)2014年9/19$64967,800円108.9円0.5118oz33.6171oz
iPhone 6s (16GB)2015年9/25$64986,800円120.1円0.6309oz48.3432oz
iPhone 7 (32GB)2016年9/16$64972,800円102円0.5446oz36.2665oz
iPhone 8 (64GB)2017年9/22$69978,800円112円0.5449oz41.4109oz
iPhone XR (64GB)2018年10/26$74984,800円111.9円0.6154oz52.0480oz
iPhone 11 (64GB)2019年9/20$69974,800円108円0.4607oz38.6923oz
iPhone 12 (64GB)2020年10/23$82985,800円104.7円0.4311oz33.2718oz
iPhone 13 (128GB)2021年9/24$82998,800円110.7円0.5101oz39.7728oz
iPhone 14 (128GB)2022年9/16$829119,800円143.2円0.4994oz43.2347oz
iPhone 15 (128GB)2023年9/22$799124,800円148円0.4383oz38.0525oz
iPhone 16 (128GB)2024年9/20$799124,800円148.5円0.3477oz26.9793oz
iPhone 17 (256GB)2025年9/19$799129,800円147.9円0.3649oz21.4054oz

※iPhone 4/4s/5/5s の日本価格は当時の SoftBank(キャリア価格)です。
※iPhone 12/13/14 のアメリカ価格は SIMフリー: $829、キャリア契約時は $799。本表はSIMフリー基準です。
※金・銀換算は発売日近辺の国際相場(XAU, XAG)とドル円為替で算出した概算値です。

Gold oz(日本価格基準):日本価格(円) ÷ (金価格USD/oz × ドル円レート)で算出。
Silver oz(日本価格基準):日本価格(円) ÷ (銀価格USD/oz × ドル円レート)で算出。
「その時点の金・銀相場と為替で、iPhoneを買うのに必要な貴金属量」を示します。
端数は小数第4位まで表示。

グラフで比較:2010年=100の指数

下のグラフはiphone4の発売日である2010年6月24日を基準に、日本価格・アメリカ価格・金貨・銀貨・ドル円を指数化したものです。

グラフのポイント

  • 日本価格指数は約3倍:円安と値上げの影響
  • アメリカ価格指数は横ばい:ドル基準では大きな変動なし
  • 金・銀換算では必要量が減少:貴金属は購買力を維持
  • ドル円の上昇が日本の価格高騰感を生んでいる

iPhone価格は本当に「毎年値上げ」なのか?

多くの日本人は「新しいiPhoneが出るたびに高くなっている」と感じています。確かに円建ての価格だけを追うと、2010年のiPhone4(46,080円)から2025年のiPhone17(129,800円)へと、3倍近くの上昇です。しかしドル建てで見ると、iPhone4は$599、最新のiPhone17は$799。15年で200ドルの上げ幅にすぎません。むしろ米国の購買者からすれば、価格はほぼ据え置かれてきたのです。

さらに注目すべきは機能面です。iPhone17のベースモデルは256GB。iPhone16までの128GBから倍増しています。つまり「同じ価格で容量は倍」。処理能力やカメラ性能なども飛躍的に向上していることを考えると、製品の価値に対してドル価格はむしろ割安になっているともいえるのです。円だけを見れば「値上げ」、ドルとスペックの両面から見れば「据え置き、むしろ安い」。このギャップこそが、今回のテーマの核心です。

なぜ「円では高騰、ドルでは横ばい」なのか

1. 為替の影響

iPhoneの価格を決定する大きな要因のひとつが為替です。Appleは基本的にドルベースで価格を設定するため、円安が進めば日本価格は自動的に高くなります。2010年は1ドル=90円台でしたが、2025年には147円前後。為替だけでおよそ1.6倍もの負担増になっており、これが「円で見た値上げ感」の大部分を説明します。

2. 税金の影響

さらに日本では消費税が価格に含まれています。2010年当時は5%でしたが、2014年に8%、2019年に10%へと引き上げられました。同じ商品を買っても、税率が上がれば支払額は増えます。ドル価格が据え置きでも、日本の税込み価格は為替と税金のダブルパンチで上昇していったのです。

3. 貨幣供給量(M2)の増加

そして忘れてはならないのが通貨の供給量です。特にコロナ以降、日米ともにマネーストック(M2)が急拡大しました。お金が大量に供給されると、その1単位あたりの価値は薄まります。その結果、モノの価格が上がったように見えるのです。iPhoneが値上がりしたというより、円やドルの価値が落ちた結果として「高く感じる」現象が起きているといえます。

金・銀で見ると、むしろ必要量が減っている

興味深いのは、金や銀に換算すると、iPhoneを買うのに必要な量はむしろ減っていることです。2010年のiPhone4を購入するには銀貨(1オンス)が約27枚必要でしたが、2025年のiPhone17は約21枚で済みます。金でも同じ傾向があり、必要なオンス数は減少しています。

これは単なる価格比較にとどまらず、金や銀が「長期的に購買力を維持する資産」であることを裏づけています。円で貯金をしていたら目減りしたはずのお金も、金や銀に換えておけば価値を守れた。iPhoneの例は、その事実を誰にでも理解しやすく示しているのです。

庶民の感覚と現実:預金だけでは目減りする時代

円建ての世界で暮らす私たちにとって、賃金が上がらない状況での円安や物価高は非常に厳しい現実です。米やパン、エネルギー代、教育費など生活必需品の値上げが続けば、財布の中身が以前よりも早く減っていく感覚は当然です。「iPhoneが高すぎる」と嘆く声も、この現実の延長にあります。

しかし「金・銀・ドル」といった別の尺度で見直すと、必ずしも値上げ一辺倒ではないことがわかります。つまり「円だけで考えると高い」「他の尺度で考えるとそれほどでもない」。この視点の違いは、預金だけに頼るリスクを示しています。日本人は資産の大部分を円の現金・預金に置いていますが、それが長期的に購買力を維持できないことは、iPhoneの価格推移が雄弁に物語っています。

資産防衛のヒント

現実的な選択肢は「コツコツと金や銀を積み立てる」ことです。

もし2010年からiPhoneを買うためのお金を円で貯めていたら、今では足りません。
しかし同じ金額を金や銀で保有していた場合、むしろ必要量が減っており、購買力を守れていたことになります。

これはiPhoneに限った話ではなく、食料・エネルギー・教育費などあらゆる分野で起きている現象です。円だけで資産を持つことはリスクであり、金・銀・外貨・ビットコインなどに分散することは、インフレや円安に備える有効な方法です。

ただし、ビットコインについては注意が必要です。値動きが非常に激しく、4年ごとに半減期を迎えるサイクルで動いてきました。現在は高値圏にあるため、今からの購入はおすすめしません。最近では機関投資家の参入により「4年周期がなくなるのでは」という意見もありますが、暴落するかどうかは誰にもわかりません。もし大きく下落する局面があれば、そこで購入して長期保有するのが賢明でしょう。

また株式については、リーマンショックのような大暴落してかなり安くなった段階で、応援したい企業や配当が魅力的な企業、今後成長しそうな企業を「長期保有目的」で買う戦略が有効です。
時間を味方にすることで、資産形成の可能性は大きく広がります。

まとめ

  • 日本円建てではiPhone価格は約3倍に。背景には円安・消費税の引き上げ・通貨供給の拡大がある。
  • アメリカドル建てではほぼ横ばい。最新のiPhone17はベース容量が256GBとなり、むしろ割安感もある。
  • 金・銀基準で見ると必要量は減少。長期的に購買力を守る「価値保存資産」として機能してきた。
  • 「値上げされた」と感じるのは、円の価値が下落した結果であり、必ずしも商品の本質的な値上げではない。
  • 預金だけに依存すれば購買力は目減りする時代。円に偏らず、金・銀・外貨・ビットコインなどに分散することがインフレ・円安への有効な備えとなる。

※ 本記事に掲載されている情報は、の考えであり、あくまで情報提供を目的としたものです。銀や金、外貨、株、ビットコインの価格は変動し、 損失のリスクがあります。 生活に支障をきたすことのない、損失を許容できる資金で運用する必要があります。すべての取引が利益になるとは期待できません。

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