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預金封鎖とは
預金封鎖とは、銀行から決められた1日の引き出し金額以上の預金を出金すことが出来なくなることです。
国民に知らされると効果がないので、預金封鎖は突然に実施されます。
預金封鎖の目的
預金封鎖の目的は2点あります。
- 市場に出回った通貨の流通量を制限し、インフレーションを金融政策で抑えるため
- 財政が破綻寸前になった場合、銀行預金などの国民の資産を把握して、資産に対して税金をかけるため
1946年に日本で実施されたときは、預金封鎖後に資産税が課税され、預金から直接徴収されております。
資産に応じて税率が高くなるのですが、税率は25%~90%とかなり高いです。
過去に預金封鎖があった国
1933年 アメリカ
1929年から1930年にかけて南部諸州、テネシー州、ケンタッキー州のいくつかの銀行で取り付け騒ぎ、銀行破綻が起こり、それがきっかけでニューヨーク、フィラデルフィアまで取り付け騒ぎが拡大、1931年にはボストン、1932年にはシカゴ、1933年にはセントルイスへと全国規模で拡大していきました。
フランクリン・ルーズベルト大統領は就任の2日後の1933年3月6日に4日間米国の全ての銀行を休業を宣言しました。
預金を封鎖するのではなく、銀行自体を閉鎖して引き出せなくしたのです。
なお、預金の課税は実施されておりません。
1933年4月5日、フランクリン・ルーズベルトは大統領令を発令し、アメリカ人及びアメリカ法人が金貨、金塊及び金の延べ棒を持つことを禁止しました。
これは当時金本位制の下紙幣が金保有高に制限されてしまうためインフレ政策が取れなかったための措置でした。
アメリカ国民は 1トロイオンスあたり20.67ドルで強制的に徴収されました。
翌年の1934年にアメリカは金の買上げ価格を1トロイオンスあたり35ドルと定めております。
アメリカ政府は国民から安く金を強制的に買い、翌年には高い価格設定をしております。
アメリカ国民は1974年まで金の保有は禁止されていました。
そのため、アメリカでは銀貨がポピュラーなのかもしれません。
1990年 ブラジル
1989年にハイパーインフレが起こっており、このインフレをおさめるために、翌年の1990年にすべての銀行預金、証券口座を封鎖し没収しました。
1預金口座当たり5万クルゼイロ(6万円程度)以上はすべて没収されました。
また、証券口座は投資残高の80%を没収されました。
資産が凍結されている間に、ブラジルの通貨は『クルゼイロ』から『レアル』に切り替えが行われ、クルゼイロの価値がゼロになりました。
国民のほとんどがほぼすべての資産を失うことになったのです。
2001年 アルゼンチン
1999年にブラジルのレアルが暴落し、その影響を受けてアルゼンチンの通貨であるペソが高騰しました。
アルゼンチンの輸出は、その約30%がブラジルに頼るものでしたので、輸出は低迷し、アルゼンチン経済は低迷していきました。
2001年12月2日、アルゼンチン政府は預金封鎖を実施しました。
預金封鎖の期間は12カ月間にのぼり、アルゼンチン国民は週に250ドルの預金しかおろせない状況に陥りました。
2002年 ウルグアイ
アルゼンチンの金融危機やブラジルの金融市場の不安化の影響を受けて、同国内の銀行の預金流出が止まらず、信用不安が大きく高まる中、ウルグアイ政府は国内銀行の営業を全面的に停止しました。
外貨保有量も減少していたウルグアイ政府は、預金封鎖後にIMFに融資の前倒しを要請しました。
2008年 アイスランド
アイスランドはハイリスクなサブプライムローンへの投資で、自国通貨アイスランドクローネに金利15%という高金利をつけて海外から資金を調達していました。リーマンショックが発生して多大な不良債権を抱えてしまいます。
財政破綻が顕著になるにつれて実際の商取引に裏付けられた証拠のない海外送金については規制し始めました。
アイスランド政府は外貨が不足していたため、アイスランドの国民は外国通貨での収入のすべてを全額税金として課税されました。
2008年9月にアイスランドのグリトニル銀行が突然国有化され、アイスランド国民の口座は保護されましたが、外国人の口座はすべて没収ました。
アイスランドの銀行口座を持っていた外国人のほとんどがイギリス人で、約30万人の口座が全額没収されました。
2013年 キプロス
キプロスは、税率が低いため、海外からの預金が集まるタックス・ヘイブン(租税回避地)の国でロシアの富豪などを中心にキプロスに資産を預ける投資家が多くいました。キプロスは多額のギリシャ国債を運用しており、2013年3月16日にギリシャ危機のあおりを受けて預金封鎖を実施しております。
10万ユーロを超える預金はすべて没収になりました。
裕福なロシア人が多かったと言われております。
10万ユーロ以下の残高の口座についても1日300ユーロまでの引き出し制限をかけられました。
また、海外への預金持ち出しは1回1000ユーロまでとされ、銀行口座から海外に送金するのは、1カ月に3万ユーロまでと制限されました。
その頃には仮想通貨も誕生しており、仮想通貨のビットコインに資金が集まり、一気に価格が急騰しました。
やはり、ビットコインに資金が集まるのかもしれないですね。
ある程度はビットコインなど主要な仮想通貨を持っておいた方がよさそうです。
戦後の日本における預金封鎖
1946年2月17日(日)に預金封鎖と通貨切り替えが実施されました。
発表されたのは前日の土曜日でしたので、預金を出金したくてもできなかったのです。
今後、日本で預金封鎖が実施されるとしたら、銀行が営業していない土曜日、日曜日ではないでしょうか。ATMでの出金もできないとできないと思います。
- 10円以上の日本銀行券(旧円)は3月2日限りで無効(それまでに使うか預金するしかない)
- 翌3日からは新しく発行した新円のみ使用可、旧円とは1人100円を限度に1対1で交換▽勤め人の給与は月給500円まで新円で支給、残りは封鎖預金に振り込む
- 鎖預金からの引き出しは1カ月に世帯主が300円まで、それ以外の世帯員は1人100円まで
出金可能な金額
封鎖預金からの新円での引き出し可能な月額は、世帯主で300円、世帯員は1人各100円でした。
1946年の国家公務員大卒初任給が540円であった時代です。
厚生労働省の「平成30年度 賃金構造基本統計調査」によると、国家公務員大卒初任給は20万6,700円です。
国家公務員大卒初任給は
383倍
お金の価値が約70年で383分の1になっている。。。やはり現金で持っておくと怖いですね。
国家公務員大卒初任給をもとに現在の価値に換算すると、
毎月の出金可能金額は
- 世帯主で11万4,900円
- 世帯員は1人各3万8,300円
です。
預金封鎖はハイパーインフレ(急激な物価上昇)をおさえるためとされていましたが、財産税課税のための準備措置が一番の目的でした。
預金封鎖後に財産課税の徴収
財産税法とは、1946年3月3日午前0時において国内に在住した個人の財産の全額、および国外在住の個人が国内に所有した財産に対して財産税を課す法律。
銀行預金をはじめ株式、不動産、ゴールド等すべての財産に税金が課せられております。
税率
超過累進課税方式。同居家族は課税価格を合算した総額に対して税額を算出し、各人の課税価格に応じて按分する。
課税価格 | 現在の価格※ | 税率 |
---|---|---|
10万円~11万円 | 約3,830万円~約4,213万円 | 25% |
11万円~12万円 | 約4,213万円~約4,596万円 | 30% |
12万円~13万円 | 約4,596万円~約4,979万円 | 35% |
13万円~15万円 | 約4,979万円~約5,745万円 | 40% |
15万円~17万円 | 約5,745万円~約6,511万円 | 45% |
17万円~20万円 | 約6,511万円~約7,660万円 | 50% |
20万円~30万円 | 約7,660万円~約1億1千万円 | 55% |
30万円~50万円 | 約1億1千万円~約1億9千万円 | 60% |
50万円~100万円 | 約1億9千万円~約3億8千万円 | 65% |
100万円~150万円 | 約3億8千万円~約5億7千万円 | 70% |
150万円~300万円 | 約5億7千万円~約11億5千万円 | 75% |
300万円~500万円 | 約11億5千万円~約19憶2千万円 | 80% |
500万円~1,500万円 | 約19憶2千万円~約57憶5千万円 | 85% |
1,500万円超 | 約57憶5千万円~ | 90% |
※現在の価格:国家公務員大卒初任給をもとに現在の価値に換算したもの
具体例 同居3人家族の場合
- 父の資産額:4,000万円
- 母の資産額:500万円
- 子の資産額:500万円
上記の総資産5,000万円の同居3人家族の場合は
約3,830万円×0%=0円
約383万円【約4,213万円-約3,830万円】×25%=約95万7,500円
約383万円【約4,596万円-約4,213万円】×30%=約114万9,000円
約383万円【約4,979万円-約4,596万円】×35%=約122万5,600円
約21万円【約5,000万円-約4,979万円】×40%=約8万4,000円
総資産5,000万円に対する財産税額は
約341万6,100円
になります。
そこから父:母:子=8:1:1の按分で分けていきます。
父の財産税額:273万2,880円
母 の財産税額 :34万1,610円
子 の財産税額 :34万1,610円
今と昔では税制も家族の在り方も違うので、どうなるかわかりませんが、参考になるとは思います。
ハイパーインフレには気をつけておく必要があります。
対策に金・銀は有効なのか
- ハイパーインフレと預金封鎖で資産が大幅に目減りする
- 預金引き出し制限がおきる
- 通貨の切り替えで旧貨幣は使えなくなる
- 預金課税である一定金額以上は没収される(キプロス)
- 外国人口座のみ全額没収(アイスランド)
- 預金封鎖ではないが銀行の営業停止もある(アメリカ)
- 金貨・金のインゴットの強制徴収(アメリカ)
- 預金封鎖を口実に全資産に課税される(控除あり)(日本)
- 近年ではビットコインに資金が流れる(キプロス、レバノン)
対策するには
過去の事例を参考に対策を考えようにも、すべてを回避することはできません。
ただ、ある程度はショックを軽減することはできると思います。
その1
1か月分~数か月分の水や食糧、生活用品の備蓄が必要になります。
ハイパーインフレが起きると、水や食料品、生活用品までもが何倍にもなってしまいます。
預金封鎖直後の混乱時は特に物価が高くなります。
また、買いたても買えない状況が続くかもしれません。
その2
預金の引き出し制限に対処する必要があります。
1カ月~数カ月くらい生活できるだけの現金を手元に持っておくのがよいでしょう。
多額の現金をタンス預金にしても、通貨の切り替えで旧貨幣は紙くずになる可能性もあります。
その3
現物の銀(ゴールド)・金(ゴールド)を保有しましょう。
私は、銀もしくは金をお勧めします。銀や金はどんな時も価値は同じなのです。ハイパーインフレで日本円が紙くずになろうとも金・銀の価値は変わりません。
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金(ゴールド)や銀(シルバー)の積み立てサービスもありますが、いざとなった時に金や銀を届けてはくれないともいます。口座も凍結対象になるでしょう。
金・銀でもいろいろな種類の商品に分散しておく必要があります。
さきのアメリカの事例では金(ゴールド)のすべての保有は禁止され、強制徴収されました。
しかし、銀(シルバー)は禁止対象になっていません。
どの資産を禁止・没収するかはわかりまん。
保有禁止対象が金のインゴットのみかもしれないし、金・銀のインゴットのみかもしれないし、金のインゴットと金貨のみかもしれません。
- 銀貨
- 銀のインゴット
- 18金の喜平ネックレス
- 金貨
- 金のインゴット
徳力本店や田中貴金属工業などの地金販売店での購入は200万円未満でも税務署もしくは国は把握していると思っていいでしょう。年々、地金販売店での購入には個人情報の提供が厳しくなっています。
リスク分散するためにもいろいろなお店で購入をおススメ致します。楽天市場やYahoo!ショッピングでも金貨や銀貨、喜平ネックレスを購入できます。また、喜平ネックレスはアマゾンでも購入できます。
その4
ビットコインを保有しておきましょう。
キプロスやレバノンではビットコインに資金が流れ、急騰しているのをみるとビットコインもポートフォリオに組み入れておいた方がよいと思います。
その5
海外に資産を移すのも手でしょう。
ただ、アイスランドの預金封鎖では外国人の口座は全額没収になっております。
絶対、安全とは言い切れません。
詳しい方以外はあまり海外に移さない方がよいと思います。
日本で預金封鎖がおきる状況では、世界中のほとんどの国が日本よりさらにひどい状況だと思います。私はあまりお勧めは致しません。
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